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DEGIMA AIの濱田剛氏がAMD Radeon採用の遠隔計算基盤を1時間単位で2026年9月10日に一般公開

AMD Radeon - Instagram
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株式会社DEGIMA AIは2026年9月10日10時00分、AMD Radeonシリーズを中核に据えたGPUクラウド環境の提供を日本国内で開始した。企業が外部に送信できない秘匿情報を扱う需要や自律型エージェントの常時稼働を目的とした自社完結型インフラの構築が急務となる一方、半導体市場の偏りによる調達費用の高騰が普及の壁となっている。同社はこの設備難に対処するため、安価なハードウェア構成による遠隔基盤を市場へ投入した。

機密データを自前で保全したい民間組織を中心に、外部ネットワークに依存しない運用への移行が進む。即応性が求められる現場ではプロセッサーの入手遅延が深刻だ。調達網の硬直が開発現場を圧迫している。

3800万円でゴードン・ベル賞を制した低廉ハードウェアの思想

DEGIMA AIは半導体大手AMDとの連携体制を敷き、市販のRXシリーズやPROシリーズを仮想環境上で直接稼働させる時間貸しサービスを立ち上げた。利用者は1時間単位で必要な演算規模を確保し、独自の開発環境を構築できる。

事業責任者を務める濱田剛氏は、東京大学の学生時代に宇宙物理学者の牧野淳一郎氏へ師事し、FPGAを用いた独自の重力計算機の自作からキャリアを開始した。牧野氏はPreferred Networksと神戸大学が手がけたAIプロセッサーMN-Coreの設計にも深く関わった研究者である。濱田氏は2000年代初頭にNVIDIAのGeForceに搭載されていたCUDAの内部構造を解析し、宇宙物理分野で世界初となる学術論文を発表した実績を持つ。技術は実証された。

長崎大学の研究拠点で濱田氏らの陣営は、民生用のGeForceを多数組み合わせた並列計算機DEGIMAを製作した。3800万円という極めて限定的な総工費で記録的な演算効率をたたき出し、2009年に高性能計算分野の国際賞であるゴードン・ベル賞価格性能比部門を受賞した。NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏も2026年7月の訪日会見において同氏の功績に直接言及している。

行政刷新会議の事業仕分けでスーパーコンピューター京の開発計画を巡る議論が紛糾した時期、濱田氏は市販製品を活用した省コスト路線を提示し続けた。続くプロジェクトで高度な倍精度演算が必須となった際、当時のGeForceでは要求性能を満たせなかったため、同氏は即座にRadeonを用いた第2世代DEGIMAを組み上げた。同機はRadeon搭載スーパーコンピューターとして世界初稼働を記録し、消費電力あたりの計算性能を示す世界ランキングGreen500の上位に名を連ねた。

スチール棚と汎用空冷ファンで構成する推論専用クラスタ

DEGIMA AIでCFOを務める立野新氏は、2020年の大学院修了後にアマゾンジャパンでの勤務を経て超小型人工衛星を開発するアークエッジ・スペースへ合流した人物である。アークエッジ・スペースの創業者の一角であった濱田氏と立野氏は議論を重ね、両名の専門知識を掛け合わせる形で新法人を立ち上げた。

深層学習市場の比重がモデルの事前学習から実環境での推論処理へと移行した事実を受け、両名はRadeonを活用したインフラ貸出事業の具体化に着手した。立野氏は、資本力のある大手IT企業を除けば、実用域の小型モデルを独自開発して自前で回す選択肢は限られていたと振り返る。巨額投資の壁は依然として厚い。

同社はデータセンター向けの専用品ではなく、ゲーム機や一般業務用PCに積載される民生用GPUを意識的に採用している。計算拠点の設備構成には以下の特徴がある。

  • データセンター専用ラックを排して市販のスチール棚に基板を直接配置する設計
  • 高価な密閉空調を使わず汎用ファンによる外気導入で冷却する方式
  • 初期投資と運用電力を極小化して1時間ごとの利用単価を抑える構成思想

この簡素な構成は暗号資産マイニング施設で普及した露出型配置を応用したものであり、費用対効果を最優先とする設計哲学が貫かれている。

SSH接続とROCm開発環境による実機検証の仕組み

利用希望者は専用ポータルサイトでアカウントを開設し、希望するGPUハードウェアを選択するだけで暗号化されたSSH経由の直接接続が可能となる。管理用のroot権限が直ちに割り当てられるため、手元の端末と同一の感覚でライブラリの追加やシステム構成の改変を自由に実行できる。

接続直後からAI開発ツールが自動展開されるため、AMD独自のフレームワークであるROCmの操作経験が浅い技術者でも導入の障壁は低い。同社幹部は、Radeonをベアメタルに近い権限で遠隔操作できる時間貸し基盤は世界的に見ても稀有であり、価格競争力を維持したまま提供していると説明する。

オンプレミスでのハードウェア導入を検討している法人は、24GBのVRAMを搭載した環境を借り受けることで、パラメータ数30B規模の言語モデルが自社業務に耐えうるかを事前に計測できる。実機配備に伴う資本リスクを最小化する検証手段としてこのクラウドは機能する。

独立型システムであるAMD Radeon AI PRO R9700などを自社内に常設したい企業からの引き合いも増加している。事前に同一アーキテクチャのクラウド上で検証を済ませておけば、自社ハードウェアの保守や障害発生時における代替設備としても即時に転用できる。

オープンソースソフトウェアの対応拡大と次世代技術者の参画

CUDA環境が20年の歴史を経て熟練技術者層で固定化する一方、後発のAMD RadeonおよびROCmは新世代の開発者が参入しやすい土壌を持つ。既存基盤における情報網の厚みには隔たりがあるものの、llama.cppをはじめとする主要な推論用オープンソース群はすでにROCmへのネイティブ対応を完了した。

立野氏自身も最初に購入したRadeon RX 7900 XTXを用いてROCm上でAI開発手法を自習した経歴を有する。同氏は、新しい開発基盤の習熟に取り組む姿勢こそが若手技術者の競争優位につながると主張する。基盤の更新も控える。AMD ROCm 10は2026年8月27日から正式なソフトウェア供給が始まっている。

特定の半導体ベンダー1社による市場支配が長引けば、計算資源の不当な価格高止まりを招く恐れがある。市場に複数の選択肢が存在することこそが利用者の利益を保護し、ハードウェアの構造を理解できる自律的な技術者の育成を可能にすると濱田氏は指摘する。ユーザーは時間貸しの接続枠を確保し、目的の推論スクリプトを実行することで、安価な冷却構造を持つ計算基盤の実効能力を直接確かめられる。

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