日本の社会保険制度でパート労働者の月額8万8000円要件が撤廃され厚生年金の加入対象が拡大
社会保険の適用拡大に向けて、日本年金機構はパートタイム労働者らに求めていた月額8万8000円以上の賃金要件を廃止しました。2025年年金制度改正法(令和7年法律第74号)に基づく措置で、年収約106万円に相当する収入の基準が取り払われ、週の所定労働時間などの条件を満たす労働者の健康保険や厚生年金保険への加入が義務化されます。
- 月額8万8000円(年収換算で約106万円)の賃金要件を廃止
- 週20時間以上の所定労働時間と従業員51人以上の企業要件は継続
- 最低賃金減額特例の対象者は申請による任意加入が可能
- 50人以下の小規模事業所には最長3年間の激変緩和支援措置を新設
この制度変更は2026年10月1日木曜日に施行され、これまでの社会保険制度における雇用形態別の加入基準が見直されました。全国の加重平均最低賃金が1016円に達したことで、週20時間の労働で月額8万8000円を自然に上回る地域が増加し、従来の金額要件が実質的に形骸化していた背景があります。
社会保険の加入基準に残る週20時間と企業規模の規定
賃金要件は撤廃されたものの、短時間労働者が社会保険に加入するためには引き続き一定の条件を満たす必要があります。具体的には、1週間の所定労働時間が20時間以上であること、2か月を超える雇用の見込みがあること、昼間部の正規学生ではないこと、そして厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業に勤務していることです。これらの基準を満たす場合、事業主と労働者の双方が保険料を折半して納付する義務が生じます。
一方で、最低賃金法第7条に規定される最低賃金の減額特例許可を受けており、月額の所定内賃金が8万8000円未満にとどまる労働者については、原則として強制適用の対象から除外されます。ただし、該当する労働者が希望する場合には、事業主の同意を必要とせず、本人の申請のみによって社会保険へ任意加入できる仕組みが整備されました。
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106万円の壁と年金制度改革がもたらす労働環境の変化
従来の制度では、月額8万8000円という賃金要件の存在により、手取り収入の減少や配偶者の扶養控除枠から外れることを懸念したパート労働者が就労時間を意図的に抑える「106万円の壁」と呼ばれる現象が全国で常態化していました。今回の要件廃止により、労働者は月収の基準を気にすることなく就労時間を設定できるようになり、人手不足に悩む流通や飲食業界などでの労働力確保につながると見込まれています。
政府は社会保険の適用範囲を段階的に拡大させており、対象となる企業規模は2016年の501人以上から、2022年に101人以上、2024年に51人以上へと順次引き下げられてきました。今回の賃金基準の撤廃は、就労調整の解消と将来受け取る基礎年金および報酬比例部分の年金額底上げを両立させるための改革の一環として位置づけられています。
小規模企業向け負担調整制度と2035年に向けた拡大工程
従業員50人以下の企業については、現時点では短時間労働者の社会保険加入は義務付けられていません。しかし、労使の合意に基づいて自発的にパート労働者を社会保険に加入させる事業主を支援するため、国は最大3年間にわたり保険料負担を軽減する助成や調整を行う激変緩和措置を導入しました。これにより、中小企業における雇用環境の改善と人材確保の取り組みを後押しします。
- 2026年10月1日:月額8万8000円要件の廃止および小規模企業向け負担調整措置の開始
- 2027年10月1日金曜日:企業規模要件を従業員36人以上へ引き下げ
- 2035年10月1日月曜日:企業規模要件を全面撤廃し従業員1人の事業所まで全域適用
年金制度改革法に基づく今後の計画では、2027年10月1日金曜日に企業規模要件が36人以上の事業所へと引き下げられ、最終的には2035年10月1日月曜日をもって企業規模の制限が完全に廃止され、従業員1人の事業所に至るまで短時間労働者の社会保険適用が全面義務化される予定です。
