欧州宇宙機関(ESA)の木星氷衛星探査機Juiceは、2026年9月28日(月)に地球の重力を利用したスイングバイ(重力アシスト)に成功し、木星に向けた軌道変更を最小限の推進剤消費で完了した。探査機はインド洋上空の高度8,640キロメートルまで接近し、進行方向を約20度変更するとともに、秒速約3.5キロメートルの増速を記録した。
接近前の4週間に設定されていた6回の軌道修正機会のうち、実際に推進剤を消費して実行されたのはわずか1回の小規模な修正のみにとどまった。ESAでJuiceの探査機運用マネージャーを務めるAngela Dietz氏は「The flyby required ultra-precise navigation in real time. Thanks to our very careful planning, we used only a small amount of the propellant reserved for this flyby. This gives us more to use at Jupiter to carry out observations of the planet’s icy moons.(今回のフライバイでは、リアルタイムでの極めて精密な航法が求められました。非常に入念な計画のおかげで、このフライバイのために確保していた推進剤のうち、使用したのはわずかな量だけで済みました。これにより、木星で氷衛星の観測に使える推進剤が増えることになります)」と述べた。
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探査機Juiceによる地球通過時の軌道制御と機器試験
最接近の直後、Juiceに搭載されている監視カメラ1(JMC1)が地球の撮影を実施した。撮影された画像にはアフリカ大陸やマダガスカル島が鮮明に写し出されたほか、地球の右側には小さな灰色の点として月が捉えられていた。探査機に搭載された10基の科学観測機器はすべてこのフライバイ期間中に動作し、機器の校正や地球および月の周辺環境に関するデータ収集が行われた。
Juiceは太陽とは反対側に長く伸びる地球の磁気圏尾部を数日間にわたって通過し、磁場や荷電粒子の詳細な測定を実施した。この観測期間中、ESAと中国科学院が共同推進する宇宙科学ミッションSMILE(太陽風磁気圏電離圏リンク探査衛星)とのデータ連携も行われ、極域オーロラ現象と磁気圏尾部における活動の相関を検証する貴重な測定機会となった。
地球スイングバイの主要数値と通過データ
- 最接近時刻:2026年9月28日(月)11時45分(世界協定時UTC)
- 最接近高度:インド洋上空8,640キロメートル
- 軌道変化量:進行方向約20度の偏向および秒速約3.5キロメートルの増速
- 軌道修正実績:計画された6回の修正機会のうち1回のみ実行
- 運用機器数:動作確認と観測を実施した車載科学観測機器10基
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木星到達に向けた多重スイングバイの航程
Juiceは2023年4月14日12時14分(UTC)、フランス領ギアナからアリアン5ロケットによって打ち上げられた。探査機が直接木星に向かうには搭載不可能なほどの大量の推進剤が必要となるため、地球、月、金星の重力を連続して利用する複雑な軌道計画が策定されている。2024年8月19日21時16分(UTC)には、宇宙探査史上初となる月と地球の連続フライバイを成功させており、2025年8月31日05時28分(UTC)には金星スイングバイを通過していた。
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今回の地球スイングバイは、木星到達までに予定されている全4回の重力アシストのうち3回目にあたる。次の重要な節目となる第4回目かつ最後の重力アシストは、2029年1月18日に再び地球で実施される予定である。探査機はその加速を経て木星への最終遷移軌道に入り、2031年7月21日に木星周回軌道へ投入される。その後、エウロパ、ガニメデ、カリストの観測を重ね、2034年12月1日に木星の衛星ガニメデを周回する軌道へと移行する計画となっている。
