BYDの軽EVラッコ300プレミアムを試乗検証し静粛性と後方視界などの課題が判明
中国の自動車大手BYDが日本市場向けに開発した軽電気自動車のBYDラッコについて、自動車ジャーナリストの中村孝仁氏による1週間および250キロにおよぶ日常使用の試乗検証結果が2026年9月26日に公開されました。上位仕様となるBYDラッコ300プレミアムを通常の生活動線で走行させた結果、普通車に匹敵する遮音性と走行安定性が確認された一方、運転者の体格に応じた視界や荷室開口部の構造に実用上の課題が浮き彫りとなりました。
海外メーカーとして初めて日本の軽自動車市場へ参入した同モデルは、2025年のジャパンモビリティショーで基本構想が披露され、2026年7月に日本国内で正式発売されました。中村氏は日常走行を振り返り「日常的な走行スピードの場合、車内会話は完全に家で話しているレベルでおこなえる。これがラッコのメリット1」と述べ、BEV特有の静けさに加えて車体自体の遮音性能が極めて高い水準にあると評価しました。
BYDラッコ300プレミアムの車両スペックと価格
- 車両本体価格:249万7000円(300プレミアム仕様)
- バッテリー容量:35.84 kWh(リン酸鉄リチウムイオン電池)
- 電動機出力:最高出力64馬力(47 kW)、最大トルク160 Nm
- 一充電走行距離:320 km(WLTCモード)
- 車両重量:1230 kg
小型車並みの走行質感と車内実用性における強み
BYDラッコ300プレミアムの車両重量は1230 kgに達し、同等の航続距離を有するホンダのN-One eと比較して約200 kg重い設計となっています。軽自動車としては最重量級に位置するものの、中村氏はこの重量とスーパーハイト規格の全高が操縦安定性の面で不利になっておらず、登録車の小型車に匹敵する重厚な乗り心地と直進安定性を生み出していると分析しました。ドライブモードはスポーツ、ノーマル、エコ、スノーが設定されており、通常の市街地走行ではノーマルモードが電費と加速感のバランスに最も優れています。
室内の居住性については、後席を最後端までスライドさせ前席を前方へ調整した場合に足を組めるほどの足元空間が確保され、頭上空間にも十分な余裕が確認されました。助手席下部には前後双方向から引き出し可能な収納トレイが設置されているほか、運転席シートバックには濡れた傘を直立状態で保持できる専用ストラップと水滴受け皿が用意されるなど、日本の生活習慣に配慮した室内装備が備えられています。
低身長ドライバーが直面する3つの操作課題
一方で、身長160 cmのドライバーが運転席に座った際、人間工学的な課題が複数確認されました。適正なドライビングポジションをとった場合、ルームミラーの位置が高く前方に配置されているため、視線移動だけでは後方を視認できず首を大きくひねる動作が必要となります。ミラーを見やすくするためにシート高を上げるとアクセルペダルへの足の接地角度が崩れ、かかとが浮き上がる違和感が生じることが報告されました。
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荷室のバックドア開閉機構においても不具合が報告されています。ドアを閉める際にダンパーの反発で跳ね返りが生じやすく、中村氏は「閉める時にバウンドして、閉まったように見えて実際は閉まっておらず、走行時に警告が出るケースを複数確認した」と指摘しました。さらに、軽快な操作感を好む都市部の運転者にとっては、ステアリングの操舵トルクがやや重めに設定されている点も今後の市場調査による検証項目として挙げられています。
1000台を超えた受注実績と今後の納車推移
BYDラッコは日産サクラやホンダN-BOXといった日本の主力軽乗用車に対抗する戦略車として投入され、注文受付の開始から最初の2週間で1000件以上の予約を獲得しました。全受注のうち上級仕様の300プレミアムが約80パーセントを占めており、長距離走行が可能な大容量バッテリー搭載車に対する需要の高さが示されています。
なお、2026年9月末時点における日本全国での購入者への累計納車台数については、現時点で公式な集計値が公表されておらず、今後の販売動向とともに登録実績の公表が待たれます。

