SFシリーズ『Star Trek(邦題:宇宙大作戦)』でロシア人航海士パヴェル・チェコフ役を演じた米国の俳優兼脚本家、Walter Marvin Koenig氏が、カリフォルニア州ロサンゼルスのノース・ハリウッドにある自宅で死去した。90歳だった。最期は娘のDanielle Koenig氏と姪に見守られながら息を引き取った。
訃報は2026年10月26日月曜日、同氏のタレントエージェントでエージェンシー「Galactic Productions」創設者のZachery McGinnis氏によって公表された。McGinnis氏は死因を高齢によるものと説明し、具体的な医学的詳細は明かしていない。同氏は声明で「本日、私たちはWalter Koenigの死を悼みます。彼の才能、人間的な温かさ、そして忘れがたい演技は、世界中の何世代ものファンに消えることのない足跡を残しました」と述べた。
60年来の盟友George Takei氏と所属エージェンシーが発表した追悼の言葉
この訃報は26日月曜日の朝、娘からの連絡を受けた米国公共ラジオ(NPR)の司会者Jesse Thorn氏によっても伝えられた。SNS上では、オリジナルシリーズでヒカル・スールー役を演じ、Koenig氏と60年間にわたり友情を育んだ俳優のGeorge Takei氏が別れのメッセージを公開した。Koenig氏はかつてTakei氏の結婚式でベストマン(花婿付添人)を務めた間柄だった。
Takei氏は「胸が張り裂けそうです。Walterは単なるチェコフ以上の存在でした。彼は作家であり、教師であり、思いやりのある人物で、忠実な友人でした。長年彼を愛してくれたファンの皆さん、ありがとう。彼も皆さんを愛していました。安らかに眠ってください、親愛なる友よ。揺るぎない針路で航海を続けてください」と記した。またMcGinnis氏も、同氏がファンイベントで観客と築いた親密な関係に触れ、「彼はStar Trekが人々にとって何を意味するかを理解し、作品の周りに育ったコミュニティを受け入れていました。Walter、思い出とインスピレーション、そして誰も行ったことのない場所へ果敢に進んでくれたことに感謝します」と称えた。
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米ソ冷戦下の第2シーズンからU.S.S.エンタープライズ号に乗船した背景
リトアニア出身のロシア系ユダヤ人移民の両親を持つKoenig氏は、Gene Roddenberry氏が制作した同シリーズの第2シーズン開始時に30歳で抜擢された。当時、番組開始時点で35歳だった主演のWilliam Shatner氏(カーク船長役)やLeonard Nimoy氏(ミスター・スポック役)を中年と見なしていた10代の若者層を取り込むことが制作陣の狙いだった。宇宙船U.S.S.エンタープライズ号の乗組員を若返らせるため、チェコフ役には音楽バンド「The Monkees」の歌手Davy Jones氏に着想を得た髪型が採用され、「ワープ2です、船長」といった専門的なセリフには演劇的なロシア語訛りが取り入れられた。
米国とソビエト連邦が核戦争の緊張下で対立していた冷戦のさなか、アイオワ州出身の米国人船長が指揮する艦橋に共産圏から唯一の乗組員としてパヴェル・チェコフ少尉が加わったことは、未来における国際協調への楽観的な展望を象徴していた。Koenig氏はテレビのオリジナルシリーズの最終2シーズンで計36話に出演した。同氏が最も気に入っていたエピソードは、異星人によって乗組員が西部開拓時代の銃撃戦を強いられ、チェコフがワイアット・アープの放った幻影の銃弾を胸に受ける『Spectre of the Gun(邦題:危機一髪!OK牧場の決闘)』だった。
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イリノイ州シカゴでの誕生から映画シリーズや『Babylon 5』出演までの歩み
- 1936年9月14日:イリノイ州シカゴでWalter Marvin Koenigとして誕生。
- 1967年:北米の秋シーズンに放送された『Star Trek』第2シーズンで初登場。
- 1968年:テレビでエピソード『Spectre of the Gun』が放送。
- 1979年:『Star Trek』の劇場版映画全7作品への出演が開始。
- 1980年:自身の著書『Chekov’s Enterprise』を出版。
- 1990年代:SFテレビシリーズ『Babylon 5』に超能力者組織Psi Corpsの将校で悪役のAlfred Besterとして複数回出演。
- 2008年:共演者George Takei氏の結婚式にベストマンとして参列。
- 2010年:同じく俳優だった息子のAndrew Koenig氏が死去。
息子の喪失に加え、Koenig氏は57年間連れ添った妻のJudy Levitt氏にも先立たれていた。同氏の正確な医学的死因や、通夜および葬儀の日時と場所については、遺族や所属エージェンシーのGalactic Productionsからまだ発表されていない。
